その6 S1500クラスの未来


・比較的最近の1000-1500cc級の安価なクルマに車種を限定し,
・車両の改造範囲やタイヤのサイズ・種類をこれまでよりも制限することで,
・低コスト,低リスクでお手軽に本格的モータースポーツを楽しめる

というコンセプトでもって中部地区に生まれ,全国に広がりつつあるスーパー1500クラスですが...実際に参加している人はどのように感じているのでしょうか。


私自身も数年前までインテグラ・タイプRでN2クラスを走っていましたが,常にタイヤ代や維持費に喘いでいる状態で,もっと走りそのものに時間やお金をかけたいと思っていました。

そのインテグラがクラッシュ→廃車となってしまって,今後どうしようか途方に暮れている時にちょうど新型デミオとS1500クラスに出会い,2009年から近畿で始まるS1500クラスに復帰することを目標に立ち直ってきました。

そしてこの3月,やっと仕上がったデミ助に乗って,実際にS1500クラスで公式戦に復帰したわけです。結果は散々でしたが(笑)。


走って見るまでは正直「単なる初心者クラスかな」とナメてかかってたところがありました。すいません(汗)。でも参加してみて衝撃を受けました。非常にレベル高いです。特に上位の人たちは完全に地区戦レベルです。これは非常にうれしいことでもあるわけで,この先何年でも挑戦しがいがあるということです。


クルマの方も「お買物車」という先入観は捨てないといけません。
というか,最近のお買物車はすごいです。さすが世界に誇る日本車です。

デミオに初めて試乗した時も,もちろんノーマル状態でしたが,非常にバランス良く仕上がった「スポーティーコンパクト」に驚きました。インテグラの競技車から乗り換えてもクルマを操る楽しさには全く遜色なく,扱いやすい挙動のため,むしろこっちの方が楽しいかも,と思えるものでした。

実際に購入して競技車に仕上げた段階で,それは確信になりました。
「やっぱ,こっちの方が面白い!」

もちろんタイヤがスポーツラジアル限定であることが大きな要因であると思いますが,パワーや絶対的なスピードでは昔のテンロクやテンハチにかなわないものの,クルマの基本性能が高いために,乗って操る楽しさはむしろS1500車両の方が勝っているようにすら感じます。

現にG6などスポーツラジアルのクラスだけで比べると,S1500のクルマはシビックやインテグラとそれほど変わらないタイムで走っています。これはクルマのスペックの差を考えるとものすごいことです。


S1500クラスに参加している周囲のエントラントの方に聞いてみても,「S1500にして良かった」という声ばかりです。たまたま私が話したことのある方はみな競技経験者ですが,やはりタイヤ関係のコストや維持費が全然安い,というのが共通した意見です。それに対して,クルマを乗リ換えて後悔してる,楽しくないという話は聞いたことがありません。

S1500発祥の地でもある中部地区ではS1500クラスは非常に盛り上がっています。近畿ミドル戦では開幕戦・第2戦とも出走7台と,ちょっと寂しい感じです。今後もっと台数が増えて盛り上がって行くといいんですが...


今後S1500クラスが盛り上がって行くかどうかを握る大きなポイントが,JAFが発表するジムカーナ全日本選手権のクラス分け規定の行方です。

やはり各地区戦を勝ち抜いた上に全日本戦があるのとないのとでは盛り上がりが全く違ってきます。まだ中部地区を除いて各地区戦レベルではS1500クラスはほとんど設定されてませんが,全日本で該当クラスができれば各地区ともこのクラスを新設してくる可能性大です。

で,実は去る4月10日,今後3年間の大雑把なクラス分け規定が発表されました。

全日本でもS1500か,それに類したクラスができるのではないかという噂がありましたが,実際にフタを開けてみると,新しいクラス(PNクラス)が新設されはしたもののちょっと期待外れで,そのままではS1500車両が走れるものではありませんでした(というか1600ccの現スイスポのワンメークのクラスになりそうです)。

タイヤのサイズについてノーマルからの変更が許可されれば(Sタイヤにはなりますが),各地区の上位のS1500車両がそちらに出場することができるようになります。またこのクラスに限ってSタイヤの使用を制限するようになれば,現行のS1500クラスにかなり近い車両規定になります。

願わくばそのような方向への修正を入れてもらえたら,と思うのですが,新規定は先日発表されたばかりですので,まだ修正や変更の情報はありません。


今後,現行スイスポを競技車にしてこの新しいPNクラスにエントリーする人がどんどん出てくれば,S1500車両が全日本で活躍できる可能性は薄くなるでしょう。現在の各地区のS1500クラスの盛り上がりを見ればすぐにS1500がなくなるとは思えませんが,5年,10年するうちに廃れて行ってしまう可能性もあります(そうなった時には日本のジムカーナ自体も廃れてしまってないか心配ですが)。

逆に現在のS1500クラスがもっともっと賑わって行くようですと,JAFも重い腰を上げてPNクラスの車両規定を少し修正し,S1500車両がPN1クラスに出場できるようにしてくれる可能性も出てくると思います。


このように,「今後S1500クラスが盛り上がるかどうかカギを握っているのはJAFの姿勢であり,そのJAFの姿勢を変えることができるのは現行S1500クラスの盛り上がりのみである」という堂々巡りの中に私たちは投げ込まれています。

でも私たちは走るのが好きです。
とにかく走り続けたいんです。

...となると今,私たちにできること,すべきことは,とにかく各地のS1500クラスのエントラントを増やし,盛り上げて行くこと。これだけです。せっかく中部地区の先達が作り上げてくれたこのクラスを,車両規定を,守るんです。

そう考えてこのコンテンツをアップしました。


お買物車でモータースポーツをしよう」というコンセプトは,S1500クラスだけでなくそのままモータースポーツ全体の振興につながると信じています。

世界的な大不況の嵐の中,自動車産業崩壊の激震の中,モータースポーツは危機に瀕しています。その危機を救うのが日本の「お買物車」だなんて素晴らしいことだと思いませんか?


さあ,あなたもお買物車でモータースポーツしませんか?



S1500クラスのお買物車でモータースポーツを救おう(笑)



今回のまとめ

・S1500車両は実際に乗っていて非常に楽しい。競技としてもレベルが高い。モータースポーツ入門に最適だが,経験者でもたっぷり楽しめる。
・競技としてのランニングコストも低く,クルマの維持費も安いので,おとーさんのお小遣い程度の資金でも長く続けられる。
・JAFが2009年4月に発表した今後3年の全日本ジムカーナ選手権のクラス分けには,S1500車両がそのまま活躍できるクラスは設けられていなかった。S1500クラスに未来はないのか?
・ただし,ちょっとタイヤの規定を修正するだけで新しい「PN1クラス」はS1500車両がそのまま出場できるクラスになる。
・危機に瀕するモータースポーツの世界を底辺から支えるのは「お買物車でモータースポーツを楽しめる」というS1500のコンセプトのはず。
・S1500クラスのエントリーが増え,盛り上がることで車両規定の修正に向けてJAFを動かすこともできるかもしれない。
・とにかくS1500に出よう!走ろう!お買物車でモータースポーツしよう!!


Updated on May 7, 2009.