ジムカーナの世界におけるスーパー1500(S1500)クラスの車両規定は,「Nクラス」の車両規定を基礎にしてさらに改造に制限をかけ,低コスト・低リスクでお手軽に競技参加でき,なおかつ車種による有利不利の差が出にくいよう,非常によく考えられています。
ただ具体的な改造項目の可・不可については,元になるNクラスの車両規定を知らないと分かりにくいところもあるので,ここで少し整理して紹介しましょう。
※競技規則や車両規定は時々変更があります。実際の車両作成や競技
参加にあたっては,必ず自分の地区のJMRCのサイトなどから当該年度の
競技規則と車両規定をご確認下さい。
参加にあたっては,必ず自分の地区のJMRCのサイトなどから当該年度の
競技規則と車両規定をご確認下さい。
エンジン関係について
まずエンジン関係ですが,N車両と同様,修理のためのオーバーホールを除いて,エンジン内部のチューンは一切ダメです。もちろんターボやスーチャーを後付けするのもダメですし,ラジエーターの交換やオイルクーラー装着もダメ。CPU交換やROMの書き換えもダメです。
プラグ交換,プラグコード交換はOKですがケーブルを増設するアーシングはダメ。
ただしバッテリーは小型軽量のドライバッテリーに交換OKです。
エアクリ交換はOKですが純正と置き換える方式(純正形状)のものだけです。
マフラー,エキマニ,センターパイプなど排気系のチューンは全てNGとなります。「車検対応」マフラーでもダメです。装着できるとすればマフラーカッターぐらい。厳しいですね。でもこれは元のN車両でもそうなんです。
ラジエーターのファンコントロール装置はOK,ラジエーターキャップ交換もOKです。
エンジンマウントやミッションのマウントを固いゴム製に交換するのもOKです。
まとめると,交換していいのはプラグ,プラグコード,エアクリ(純正形状),バッテリー,ラジエーターキャップ,マウント類,ぐらいですね。大きなパワーアップにつながる改造を抑えることで,コストの低減と,クルマが壊れるリスクの軽減,それと各車をほぼイコールコンディションにそろえることが可能になってます。
あ,もちろんオイルやフルード類は高性能のものに交換してもOKですよ。

純正交換タイプであれば高性能エアクリへの交換はOK
駆動系について
駆動系についてはS1500独自の制限が多く,コスト軽減に役立っています。
また,ラリー系やサーキットレース系のパーツが多く用意されている車種とそうでない車種の差が拡がるのを抑制してくれています。
具体的には,モータースポーツをする上でどうしても必要になるLSDとクラッチディスク,クラッチカバーは交換できますが,それ以外は交換できません。N車両ではOKなファイナルの交換や軽量フライホイール使用はNGです。
LSDについても純正のケースにボルトオンで収まることが条件で,他車種の流用であれこれ加工しないと装着できないようなものはダメです。
もちろんN車両で許されていないクロスミッションとかの大がかりなモノはダメ。
ドライブシャフトは同じ車両型式内であれば他のグレードの流用はOKです。
足回りについて
足回りの改造規定はN車両と全く同じです。
車高調サス+直巻きバネは使用OKです。ただし車高はドライバーが乗車した状態で最低地上高9cm以上を厳守です。ちゃんと車検でチェックされますよ。
前後ブレーキパッド・シューの交換はOKです。ブレーキディスクの交換は純正タイプだけです。つまりスリット入り,ホール加工したディスクはNGです。キャリパー交換もダメですし,ステン製のブレーキラインもダメです。
ただ,マスターシリンダーストッパーはOKになってます。
もともとスタビがついてる場合スタビの交換はOK。スタビのリンクも交換OKです。もともとついてないところに加工してスタビをつけたり,スタビを外してしまうなんてのはダメです。
ストラットタワーバーは,ストラットアッパーのボルトで装着するものに限り装着OKで,最初からついてる場合も交換はOKです。ただしいずれもバルクヘッドなどに3点で固定するタイプはダメです。
アッパーマウントやブッシュ類は材質(ゴム)の硬度を変えることはOKですが,ピロにするのはNGです。またアーム類を調整式のやつにしたりするのはダメです。
いろいろと制限はありますが,車高調サスとブレーキパッド・シューの交換が許されているので,ジムカーナであればこれで必要十分ですし,セッティングの自由度も高いはずです。

車高調サスと前後ブレーキパッド・シューは交換OK
車体について
車体に関する規定もN車両と同じです。
スポット増しやグルー補強なんかも禁じられてはいませんし,4点式以上の本格的なロールバーを組むのもOKですが,流行のロアアームバーとかフロアバーとかリアピラーバーとかの装着はダメです。
エアロやスポイラー装着は,車体からはみ出さず,鋭利な部分がなく,純正のバンパーなどに上から装着するタイプのものであればOKですが,バンパーごと交換するタイプはNGとなっています。
軽量化のためのカーボンボンネットとかアクリルウインドーなんかはダメで,最低重量も「ガソリン満タンでカタログに記載されてる車両重量以上」と決められています(同じ車両型式を持つ軽いグレードがある場合はその中で最軽値)。
車室内には大きな制限はなく,N車両でOKとされるシート交換,ステアリング交換はOKですし,4点式シートベルトはむしろ交換を強く推奨されています(後が1本にまとまっているY字型のベルトはダメになりました)。水温計や油温,油圧計なんかもOKですし,見やすく大きい社外製のタコメーターを装着しても構いません。
N車両ではOKですが,S1500では軽量化のためエアコンを取り外すのはダメです。エアコンはちゃんと動作する状態にないといけません。こういうところでも過剰な改造競争に走らないようにちゃんとストップをかけてくれてるんですね。本当によく考えられた車両規定です。

ちゃんと規定を守っていればリアスポイラーなんかも装着OK
もしよろしければ実例としてウチのデミ助のスペックをご参考にして下さい。
あ,タイヤとホイールに関しては次のページで詳しく紹介しますね。
今回のまとめ
・S1500クラスの車両規定は,Nクラスの車両規定を元にさらに制限をつけることで,低コスト,低リスク,イコールコンディションを狙っている。
・エンジン関係はプラグ関係と純正形状のエアクリぐらいしか交換できない。むしろ大幅なパワーアップをさせないことで上記の精神を実現している。
・駆動系にはS1500独自の制限が多く,LSDとクラッチ以外は交換不可。
・足回りは車高調とブレーキパッド/シュー,スタビ,タワーバー,ブッシュ類が交換可能。ピロはNGだけど,これだけで十分モータースポーツは可能。
・車体や車内はNクラスと同じ。フルバケやステアリング交換ももちろんOK。
・軽量化のためにエアコンを外すのはNG。そこまでやりたいなら別のクラスで。
Updated on May 5, 2009.
お買物車でモータースポーツしよ! 〜S1500ノススメ〜

