その1 S1500クラスとは


「スーパー1500(S1500)」というのは,一言で説明すると,ジムカーナなどモータースポーツの入門カテゴリーに新しく設けられるようになったクラス区分のことで,

・比較的最近の1000-1500cc級の安価なクルマに車種を限定し,
・車両の改造範囲やタイヤのサイズ・種類をこれまでよりも制限することで,
・低コスト,低リスクでお手軽に本格的モータースポーツを楽しめる

ことが特徴になっています。


S1500の「1500」という数字はもちろん,排気量の「1500cc」を意味します。
「スーパー」はスーパーマーケットの駐車場...じゃなかったよね(笑)。

因みに,世界のモータースポーツはだいたい排気量1600ccの上下でクラス分けをします。

日本でも以前は1600ccクラスのクルマが「1.6リットル」略して「テンロク」と呼ばれ,コンパクトでスポーティーなクルマの代名詞になっていましたが(ハチロクやシビックが有名ですね),最近では,自動車税の区分が1500ccの上下で分かれていることもあり,1600ccという中途半端な排気量のクルマは作られなくなり,代わりに1500ccのコンパクトカーが市場の大きな部分を占めることになりました。

ヴィッツやフィット,デミオといったこれら1500ccのコンパクトカーは,世間では営業車とかオバちゃんのお買物車みたいに扱われてることが多いと思いますが,これらのクルマのスポーツグレードは案外それなりに「走れる」楽しいクルマに仕上がっていて,かつての「テンロク」に代わって今や「テンゴ」が手頃でスポーティーなクルマの代表格になってきています。



スポーティーなお買物車の代表,MAZDAのDEMIO


モータースポーツの中でも特に初心者向け・入門カテゴリーであるジムカーナの世界でも,いろいろなクルマに乗った参加者がなるべくイーブンに戦えるよう,クルマの排気量によって細かくクラス分けがされています。

※ジムカーナのクラス分けについては「大人のためのジムカーナ入門」の
どんなクルマでもOK?」も参照して下さい


ところがこういった最近の1500ccのスポーティーなコンパクトカーでジムカーナを楽しもうと思うと困ったことになるんです。


例えば改造範囲の狭いNクラスでは,1500ccのFF車は「1000cc以上のFF車」というクラスに入りますが,このクラスだと昔の1600ccのスポーティーコンパクト,つまりシビックやCR-X,そして1800ccの世界最強FFスポーツカー,インテグラタイプRなどと同じクラスになってしまい,さすがにこれはパワーでもクルマの軽さでも全く歯が立たないんですよ(泣)。

もう少し改造度の高いクラスはどうなのかというとこちらは「1600cc以下の2輪駆動車」のクラスで,結局シビックやCR-Xと同じクラスになってしまい,ここでも排ガスや燃費規制,安全基準の甘かった時代の古くて軽いクルマが圧倒的に有利。


所詮お買物車はお買物車,モータースポーツなんて無理なの?
いや,でも走ってみると結構それなりに走れるし,安いし,楽しいクルマになってると思うんだけどねぇ...



デミオのお隣は1600ccの名車,シビック・タイプR


・・・・・・

それならば,最近の1500ccクラスのコンパクトFFカー「だけ」のクラスを作ってみたらどうなんだろう? できればSタイヤは止めてスポールラジアル限定にして。車種による有利不利の差が開いたり,コストがかさむ改造項目も禁止にして。そうすると結構いろいろなクルマがイコールコンディションで走れて面白いんじゃない?

...たぶんこんな風に考えられたんじゃないかと思うんですが(笑)。

「スーパー1500」というクラス区分は,中部地区のモータースポーツ関係者が主体になって中部地区のジムカーナとダートラの大会を対象に2005年9月初めて制定されました。


内容はNクラスの車両規定に排気量(1500cc以下のNA)や登録年(初年度登録から7年以内),車両本体価格(180万円以下)などの制限を加えたもので,事実上,デミオ,ヴィッツ,フィット,スイフト,コルト,マーチなどが対象車種となります。非常によく考え,練りに練られたクラス区分です。

また関東のジムカーナ県戦(茨城,千葉など)でも相次いでこれらの車種に限定した形のクラス設定が新設されました。

近畿地区でも2009年から正式にジムカーナ・ミドル戦にS1500クラスが設けられました。東北(北部)など他地区でもS1500クラスを新設する動きが活発です。ジムカーナ以外のカテゴリー,ダートラや全日本ラリーでもS1500クラスが盛り上がりつつあります。


このように時代は日本独自の「テンゴ」1500ccという排気量区分によるクラス分けに大きく傾きつつあります。


従来のクラス分け規定だと古いテンロクやテンハチと同じクラスになってしまう今時のテンゴのクルマに活躍の場を与えるS1500クラス...

街のそのへんを走ってるお買物車をそのまま使うことが出来る点でも,ランニングコスト面でも大きなアドバンテージがあるS1500クラス...

これからモータースポーツを始めようと思っているアナタにも,そろそろクルマを買い換え新しいクルマで競技をしようと思ってる復帰組・買い替え組のアナタにも非常にオススメです。

さあ,あなたもお買物車でモータースポーツしませんか?



S1500クラスのお買物車でお手軽にモータースポーツ



今回のまとめ

・様々な世間の流れの中で,テンロクスポーツ全盛の時代は終焉し,現在は「テンゴ」1500ccのクルマがコンパクトカーの主流となっている。
・通常はオバちゃんのお買物車と考えられがちな1500ccのコンパクトカーだが,走りの素性は以外に悪くない。特に各車のスポーツグレードはかなり楽しい「走れる」クルマに仕上がっている。
・しかしこれらのクルマでモータースポーツ参加を考えた時には,クラス分けの関係からモロにテンロク,テンハチなどの旧スポーツFFとぶつかり合うことになり,これはさすがに歯が立たなかった。
・そこでこれら最近の1500ccのクルマ専用クラスが作られた。それがスーパー1500クラス,略してS1500クラス。
・S1500クラスは改造やタイヤ制限を加えることでコストやリスクを抑えられたモータースポーツ入門に最適なクラスになっている。


Updated on May 5, 2009.